2011年9月14日水曜日

月は高く 陽はななめ

陽の角度が変わってきましたね。
夕日が秋らしいです。

濃い夏をなんとか乗り切り
ホッとしています。

皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

秋に向け
始まることは
いよいよ
MACHにてPV3作品がそろって発売になった!

ライブイベント出演の画策や新しい作品への
取り組みでしょうか。

突然ですが
私が今もこの仕事を続けているという奇跡(笑)に
関わる
重要なファクターにヘアメイクアップアーティストの
渡辺サブロオさんの存在があります。

サブロオさんが声をかけ目をかけてくださらなかったら
今の自分はないでしょう。
20代前半から世の中に出ることになった私ですが
この仕事に向いているとは感じられず
自信薄弱側面全開で、なんとも居心地の悪い不確かな
状態でいたのです。

当時一人のインタビュアーの方から
そのへんを指摘されたことも。
「そこ(誌面)にいる違和感が不思議な魅力となっている」と。

ともかく
当時すでに魔法のような美しい手仕事で引っ張りだこの
サブロオさんにかわいがっていただけたことは
何よりの自信(私でいいんだ)となりました。

そのサブロオさんが55歳の時に出版した本ー
「渡辺サブロオ メイクの本・正統の美学+plus」(双葉社2004年)

その最末尾に
ご本人による文章が載っていました。
それがとても気になるものでした。


タイトルは
「寂しいという名の香り」です。
その文章中に
サブロオさんの自分史と簡単なその時の心情が添えてあります。

51歳 はじめての失恋、挫折、落胆。
   残された自分の人生を見つめる。

「サブロオさん!
そこまで書く?!」と驚き、
さらに
文章の最後は
「寂しいという感情を香りにしてみたい」と
なんとも切ない終わり方になっているのです。

これが自身のメイクの本の
パブリック・デビュー(本人談)というのに
悲しい感情をそのままあらわしているのです。

私には考えられないことでした。
否定的なことを本に載せる?
しかも
その否定的な感情の香りをつくりたい?

寂しいに向かい合いすぎて
表にまで出ている・・・


そして最近、
ふと
そう言えば私もあの頃のサブロオさんと同じ年代だと
思い出したのです。
もう一度読むと
当時と少し違う感覚になりました。

今となっては
寂しい、悲しいということが否定的か?とも
思えるし

その文章が醸し出す
メランコリックな気分というものに
わからなくもないと感じる
秋のはじめかな・・・

P.S.
上記の本には
写真家の富永民生さん撮影の恐ろしいほど美しい
写真が数点掲載されています。
オリジナルはサブロオさんの手がけていた
ケサラン・パサランという化粧品(当時専属モデル)のための広告写真です。
目にした方もいらっしゃるとは思いますが、

見る機会があるなら
ぜひ
見ていただきたい
確かな技です。

dip in the poolのPV「dipping」(1989)にも
私が横になった(横たわっているのではなく、画面に対して横に映っているということ)
これまた美しい映像がありますが
そちらも民生さん撮影ー中野監督ラインの作品です。

やっぱり
悲しい秋のはじまりだけでは終わりたくない私からの
お知らせです。