さしせまった用事もなく、あえて抗議したり、帰るという選択をする気力も出なかったのでただ待っていた。しかも、ヘラがあるのかないのか不明のまま。店の中をしばし探索。私が必要そうな品物はあいにく見当たらない。入り口付近には店を留守にした時のための小さなかけ紐付きのメモがあった。手書きで『○○病院へ行っています。』用事は忘れたがあと数枚。すぐにすることがなくなってしまった。そのことに関わりたくなかったこともあり聞かないようにしていたが、ついに私もラジオに耳を傾けた。女の人が淡々と次々に数字を読み上げている。おじさんの筆記している音。マニアックな気配。時折聞こえる東経、、、、度という言葉とどこかの地名。そして、とうとうつかんだ「ヘクトパスカル」の単位!私は気づきました。『聞かなきゃならない、、、』の理由とは、ソラモヨウの情報収集だったのです。今の世にこれを、、、。
任務終了後のおじさんに聞いたところによると、近所の人と天気の話になった時のために毎夕?(朝もなのか?)ラジオで気圧配置?調べて天気図を作成しているということ。手芸店として忘れられるのも無理はない。この人の今の役割は天気予報なのだから。
帰り際、『すまないね~(ラジオの方が大事だからという意味だよね)待ってもらっちゃって。今、雲でてるけど、これから晴れるからね。』応対のマイナスを補うように私にも予報を伝えてくれたおじさん。私は「そうですか~、晴れるんだ~。」とまぬけな相づちをうち、目的のヘラお買い上げで帰ってきました。
その予報とはうらはらに帰宅後まもなく雨が降ってきて、、、あの努力と犠牲(私の)にもかかわらずおじさんの天気予報にそれほどの完成度はないのかも、、、と疑いそうになるのを打ち消していた私です。
完全におまけ扱いですがヘラの旅。おじさんが言うには本来和裁のものだそうです。そしてそんなに使えませんでした、、、。トホホ