2012年9月19日水曜日

「うわて」

とある昼下がりのこと
私は、充分にすいた下りの各駅停車の電車に座っていた。
ある駅に着き、ドアが開き、そして閉じようという時に
腰が90度に曲がり、杖をついたおばあさんが急いで乗り込んできたのに気づいた。
おばあさんはおじいさんの手をひいて、
おじいさんはおじいさんなりの小走りで前のめりにひっぱられてきた。

おばあさんのみかけと実際の行動、スピードにはギャップがあった。
おじいさんは座るなり(というか座らされるなり)
帽子を脱いで一息ついた。
二人とも安心したように
まっすぐ前を向いて。

その年齢と同じくらいの年月着込んだように見える簡単な衣服を着、
こぢんまりと並んで座る二人は電車になじんでいるようには見えなかった。
大地から離れていることに居心地の悪さを感じているかのよう。
私は切ないようなほのぼのとしたような気持ちになった。(勝手に私の世界)

目的の駅に着いたので
降りようと立ちあがったところ、
その二人も降りるらしく同じく席を立った。
乗るときとは違って、90度腰が曲がったおばあさんは
おじいさんの手もひかず、そそくさと先に降りてしまった。
まるで一人旅のように。

私は歩くスピードの遅いおじいさんが
ドアが閉まる前に出られるのか気になり
何気なくサイド・バイ・サイドの位置取り。

思ったよりもドアがゆっくりと閉まり
おじいさんは
難なく降りることができた。

「おばあさん、そんな感じでいいの?」と目をやると
おばあさんは反対側のホームで準急の乗り換えをしようとしていた。
そして
おじいさんもゆっくりと
おばあさんのうしろにスタンバイ。

その駅に降りるのが2回目の私よりも
実は相当
上手な二人であったのだ。

「みかけと実際は違う」という例を
目の当りにした暑い昼下がりでありました。

2012年9月11日火曜日

スタイリスト原由美子さんの仕事

ブックマン社
しっかりした本を手にしました。
しっかりした内容に見合っています。
真面目なお人柄が出ています。

何より
私には興味深い話題が詰まっています。
読み応えあるので
秋の時間にゆっくり読み進めます。

引き込まれる大物との対談。
登場する人物も伝説の人々。
三島由紀夫や澁澤龍彦が執筆する雑誌で仕事を
始められたのだ、、、と
驚きです。
原さんは人当たりも穏やかで気遣いの方。
私のようにおもしろおかしく筆からでまかせしないで
文章もきちんと書かれます。
信頼に足る人物です。(当たり前か?)

人の推薦になっているけど・・・

かつ、けっこう短気なところやなぜか自虐的なコメントもあり
写真や原稿から人物像を妄想している方は
実際のチャーミングさにまいってしまうだろうと思います。

私はとっくに
お会いしていていいはずの方なのに
結局入れ違いで(私が「anan」編集部に通う頃はいらっしゃらなかった)
2000年を越えてから
一緒に現場に入るようになった方なのです

ひとまわり(か、ふたまわりか?)して
同じ場所に戻って来た感じです。

近いうちにぜひ
よそゆきではない「きもの」の撮影を一緒にできたら
嬉しいな~と思っています。
と、お話しもしています。

これは私にとっては珍しい
「実現したい」仕事なのです。

楽しみにしていましょう。

2012年9月6日木曜日

「秘密の残念」

私は蚊に刺されやすいことでは
ほぼ誰にも負けたことがありません。
悲しいかな。

友達には血が汚いからと言われましたが・・・
(逆においしいからじゃないのか?とも思えるのだが・・・)

この夏
日中があんまり暑いので
陽が傾いてから外出するようになっていて
今日も脚を出していたので
あまり効かないけど安全な虫除けクリームを塗り、
長袖で出かけました。

1,2分も歩かないうちに
額と手の甲がかゆくなってきました。

なんだかな~

まぬけにも額を刺されて
思い出したことがあります。

私が最初に出演した映画「ファンシーダンス」
(監督は周防正行さん、原作は岡野玲子さん)の撮影中でした。

男性僧侶役だった私は、見事に剃髪し涼しげに
主役の本木君と写真週刊誌の取材を受けました。
場所はお寺です。

そう、
蚊のメッカ。

写真撮影の寸前に私は不覚にも、蚊に刺されていたのです。
しかも額を。

赤いだけならばカバーもできますが
腫れていてはどうにもなりません。

後々
発売された雑誌を開けると
クールな表情とは裏腹に
私の額は一カ所不自然にぷっくりと
ふくれていました。

秘密でもなんでもないですが
誰が見ても
残念な感じ・・・

そんなことを思い出しつつ
秋の夕暮れを歩いていました。






夏の思い出・熱海の豪邸に遊びに行ったよ