~短いけれど長かったあのひととき~
(逆うらしま?=長く感じた旅だが元に戻ると短い間の出来事だった)
透明感のある緑のマニキュアがいいかなと
ライブ前日に思いました。
明日は原宿。
「通りすがりにあるのでは?」
と軽く考え会場へ。
リハの始まる前の空いた時間に
近くの美容室に行ってみました。
そこになければライブに来る予定の知人に頼もう。
ドアを開け
お店の人とこんな会話が・・・
「マニキュアって置いてますか?」
「何色ですか?」
「透明感のある緑なんですけど・・・」
「あっ、はい、ちょっと待ってください」
そう言って女性は2階へ上がって行き
まもなく降りて来て
「少しお待ちください」とソファに座るよう促した。
『あるのかな?ないのかな?』
その返事はないまま彼女は元の定位置、
カット中のお客さんに戻る。
『担当の人は別なのね・・・』
しばし待つ。
するとフレンチブルが2階から
降りてきた。一瞬私と眼が合う。
ヤツは眼をそらし
それから鏡の前に座る二人のお客さんを品定めし
左手のお客さんの方に向かい
おもむろに膝の上に2本の前足をのせる。
驚いた女性客に少し撫でてもらう。
犬の気持ちはわからないが
何が欲しいんだ?
まもなく、それ以上の事が起こらないと
踏んだのかどこかへ行ってしまう。
それより私のマニキュアだ・・・。
今度こそと思いつつ二階からの足音に耳傾けるが
なかなかそれらしい人物はあらわれない。
その間、私はドラマのようにお客さんと美容師さんの
会話を聞くともなく聞いている。
そのうち
一人の男性が降りてきて私に
「ちょっと待ってください」と言い残して
外へ出て行った。この担当とみた。
しかし
『外?なんかおおがかりになってきたな~
マニキュアあるかないかを知りたいだけなのに・・・
ん~
倉庫へ?いや他のお店に行って買ってこようと
しているの?』
と疑惑、妄想がふくらむ。
ついに男性は片手に何やらマニキュアらしからぬ
大きなチューブを持ってドアを開け、近づいてきた。
「お待たせしました~」と言って。
『チューブって?・・・あ~
ここはヘアーのお店だった~』
そこでようやく私はヘアマニキュアと勘違いされていたということに
気づいたのでした。
ていねいな言動とは裏腹に
あたかも’用なしはこちら~’(そりゃそうだ)といった具合に促され
お店の人が大きく開けたドアを通って・・・
そそくさと会場に戻ってきたのでした。
私は何故あの時間あそこに座っていたのでしょう?
過ぎ行く時間の違う世界に。
あの日はライブ会場でも過ぎ行く時間と空間の差を
感じる日でした。「階段を上がる下がる」だけの違いで
別世界が展開されているというような・・・
それはいつものふつうのことなんでしょうけど
それが象徴的で気づきやすい日だったのでしょうか?
ちなみに
マニキュアは無事開演前に届き私の爪を
彩りましたよ。
運んでくれてありがとう。